今月のチーズのお話

2013 October

Vully Rouge/ヴュリー ルージュ
Vully Rouge/ヴュリー ルージュ

掲載日:2013/10/01

Vully Rouge/ヴュリー ルージュ

スイス西部、ヌーシャテル湖とモラ湖の間の丘陵地、クレシエにある家族経営の酪農会社「シェーファー」。モン・ヴュリーの誕生は1993年にさかのぼります。かつて、スイスを代表するエメンタールの製造を行っていましたが、エメンタールはエメンタールのエリアで製造すべきで、西部地区であればグリュイエールをつくるべきではと考え、さらに追求した結果、クレシエ独自のチーズをつくろうと決意。こうして、直径約30cm・重さ5〜7kgのチーズの表面にブドウと銅鍋のモチーフが刻まれた、オシャレな新しいチーズが完成したのです。
モラ湖の南斜面で栽培されるピノノワールのワイン、“ヴュリー“で表面を磨き、湿度の高いカーヴで熟成させることでスイスチーズらしい個性的な香りを放つようになります。1998年にはモン・ヴュリーの生産がエメンタールを超え、チロル地方で開催されたチーズコンペティションにおけるセミハードカテゴリーで見事金賞を受賞。モン・ヴュリーの人気は急上昇し、2002年にはエメンタールの製造を止め、100%モン・ヴュリーに切り替えました。クレシエ生まれのチーズはスイス各地に知れ渡るようになり、2006年にはスイスにおけるもっとも権威あるコンクール「スイスチーズアワード」でついにチャンピオンとなったのです。
2008年夏、モン・ヴュリーを訪問した際ヴァルド・シェーファー氏は熟成別の3種類のモン・ヴュリー(クラシック、レゼルヴ、ビオ)を用意してくださいました。洗う回数こそ異なりますが、ヴュリーワインで表皮を磨かれた味わいは、独特の香ばしさとコクをもちます。もっともポピュラーなクラシックとビオ(オーガニック)は10〜20週間熟成、今回紹介するルージュは25〜52週間熟成です。香ばしいお味噌のような旨味があり、余韻も長く続きます。秋の夜長にぴったりのチーズです。

※モラ湖はフランス語表記。ドイツ語ではムルテン湖です。