今月のチーズのお話

2019 May

レイ シロ Rey Silo
レイ シロ Rey Silo

掲載日:2019/05/22

レイ シロ Rey Silo

レイ シロ Rey Silo 

スペイン最古のチーズ「アフィエガル・ピトゥ」が元になっており、そのレシピを見直し、最先端の技術を駆使して進化させたのがこのチーズ。最低でも2ヶ月熟成させたレイシロの外皮は美しく、身はよく締まっていますが、クリーミーさは健在。良質のミルクが感じられ、ヘーゼルナッツやバターの後味のような余韻を残します。
 「レイシロ」は、ここ最近海外のメディアでも取り上げられる人気上昇中の牛乳製チーズです。一見すると目の詰まった円錐状のシェーヴルと勘違いしそうな外見をしています。
 このチーズを開発したのは元ジャーナリストのパスカルさん。スペイン北部アストゥリアス地方のDOPを持つスペイン最古のチーズ「アフィエガル・ピトゥ」が元になっています。そのレシピを見直し、最先端の技術を駆使して進化させたのがこのチーズなのです。
 山が連なるアストゥリアス地方は谷ごとに公国があり、春から秋にかけてミルクが過剰になった時期にチーズがつくられてきた歴史をもちます。当初は専用の型もなく、布で包んで漉すだけの簡易なチーズだったといいます。赤唐辛子入りのものは、中央アストゥリアのアラモ山の採掘場の人たちのためにつくられたのだそうです。「アフィエガル・ピトゥ」とは現地の方言で“ 喉に詰まる” という意味がありますが、たしかにクリーミーとはいえ水分が少ないので喉に詰まりそうな印象があります。
 パスカルさんが工房を立ち上げたのは2009年ですから、ちょうど10年が経過しました。工房名の「レイシロ」とは
カール大帝と同時代を生きた王様の名前に由来するのだそうです。パルカルさんと出会ったのは4年前のブラ祭り。それ以来、交流を深めてまいりました。やっとパヴィアのナロン川の近くにあるモダンな工場を訪ねたのは昨年6月でした。無殺菌乳にこだわり、酸凝固タイプのシェーヴルのように、ゆっくりと凝固させてから型に入れ、型から出したあとは、壊さないように丁寧に反転しながら熟成を促していきます。最低でも2ヶ月熟成させたレイシロの外皮は美しく、身はよく締まっていますが、クリーミーさは健在です。良質のミルクが感じられ、ヘーゼルナッツやバターの後味も余韻を残します。赤唐辛子入りはピリッとした爽やかな後味がアクセントになりくせになってしまいそう。地元の人たちはサイダーやスパークリングワインと楽しんでいますが、暑い日本ならビールにもよく合いそうです。