今月のチーズのお話

2018 December

アッペンツェラー (黒ラベル 6 ヶ月以上熟成) Appenzeller® Extra
アッペンツェラー (黒ラベル 6 ヶ月以上熟成) Appenzeller® Extra

掲載日:2018/12/26

アッペンツェラー (黒ラベル 6 ヶ月以上熟成) Appenzeller® Extra

アッペンツェラー (黒ラベル 6 ヶ月以上熟成) Appenzeller® Extra 

スパイスや薬草を加えた白ワインに浸した布で、繰り返し拭きながら熟成させてつくられるアッペンツェル地方を代表するチーズ。この「黒ラベル」は、一番長い熟成期間を経た濃厚な味わい。
 アッペンツェラーのふるさとはスイス北東、強い自治体がある州として有名なアッペンツェル地方。毎年春になると野外に市民全員が集まり、あらゆる問題を挙手で決定するという伝統的な制度が今も残っているところです。アルプシュタイン山脈のふもとにあるこの地方は、緑の丘に農家が点在する穏やかな風景が広がっています。「アルプスの少女ハイジ」の故郷からも近く、絵はがきのモデルにもなっているそうです。アッペンツェラーの歴史は大変古く、西暦800年頃、シャルルマーニュ大帝の食卓に必ず用意されていたといいます。文献に初めて登場するのは13世紀。ザンクトガレンの教会税として納められ、修道層たちに人気のチーズでした。スパイシーな味わいの秘密は、熟成中に白ワインと土地のハーブ類を加えた塩水で磨いているためです。この処方は700年来の秘伝といわれています。スイスの財産ともいえる伝統の製法は、職人から職人へと受け継がれてきました。そして、中世以降は酪農とチーズづくりの分業が始まり、酪農家は牛乳を持ち寄り、チーズ職人に製造を委託するようになりました。
 アッぺンツェラーのレシピはチーズ工房ごとにありましたが、品質の統一を図るため1942年にSO(Sortenorganisation の略)Appenzeller Käse GmbH が設立されました。現在登録されるチーズ工場は49軒。牛乳生産者は817軒で構成されており、適正な牛乳価格と投資が保証されています。設立時の生産量は733トン、75年後の2017年には12倍にもなりました。ラベルに描かれているのは、州の紋章でもある「歩く熊」。一番人気の銀ラベルは熟成3〜4ヶ月、ミルクの甘みが残るフルーティな優しい風味です。金ラベルは香り豊かな4〜6ヶ月熟成。そして通好みといえば黒ラベルの6ヶ月以上熟成です。茶褐色の表皮は香ばしく、スパイシーな風味にナッツのようなコクが加わります。白ワインはもちろん、お燗した日本酒との相性もよさそうです。冬の夜長、じっくりと味わいながら楽しんでいただきたいチーズです。