今月のチーズのお話

2018 August

ケソ デ バルデオンQueso de Valdeón
ケソ デ バルデオンQueso de Valdeón

掲載日:2018/08/23

ケソ デ バルデオンQueso de Valdeón

ケソ デ バルデオンQueso de Valdeón 

周りを覆うのは、この地方産の塩をつかった塩水に漬けられた楓の葉。針で穴をあけブルーを促進させる製法が用いられ、楓の葉で包まれることでねっとりとした独特の組織が生まれます。原料は牛乳が主体ですが、そこに少量の山羊乳を加えることでほどよい酸味とコクが増し、しっとりとした仕上がりになります。
 スペイン北部の連山、ピコス・デ・エウロパの南支流に隠れた深い谷にあるバルデオン(レオンの谷)で暮らす人々は、遠い昔から酪農を生業としてきました。この谷で生産される乳の品質の良さを知ったトマス・アロンソ・カサーレス氏は、谷の中心であるポサダ・デ・バルデオンに移り住むことを決め、70年代半ば、弟のハビエルと協力して「ケソ・デ・バルデオン」を誕生させました。スペインのブルーチーズといえば、洞窟で熟成させる「カブラレス」が有名ですが、彼らはフランスやイタリアのブルーチーズを参考に、針で穴を開けることによってブルーを促進させる製法を導入しました。また、熟成段階にこの土地の伝統である“ カエデの葉で包む方法” を選ぶことで、ねっとりとした組織が生まれたのだそうです。
 ケソ・デ・バルデオンとの最初の出会いは1996年3月、スペイン大使館主催で行われたセミナーのこと。講師として招聘されたマリアーノ・サンペツ氏に出会えたことが、スペインチーズを直接輸入するきっかけになったのです。ポサダ・デ・バルデオンにあるご自宅を兼ねた工場を訪ねたのは1998年ですが、それから急速に需要が増え、2005年には新しい工場が建設されました。コストを押さえるためにカエデ模様のアルミで包んだ「ケソ・デ・バルデオン」も誕生しました。しかし、本物志向の人たちは、伝統のカエデの葉に包まれた方を迷わず選びます。原料乳は牛乳が
主体ではありますが、そこにわずかな山羊乳を混ぜることにより、心地よい酸味とコクが生まれるのです。
 ところで、2017年カンタブリアのラ・カバダ(La Cavada)で開催された第23 回国際ブルーチーズコンクールでスペイン他、フランス、イタリア、ドイツ、英国から出品された40種類以上のブルーチーズの中から見事1位を獲得。今後需要はさらに増すことは間違いありません。年間生産量は300万キロ。そのうち70%が輸出され、30%は国内で消費されているそうです。主な輸出先はアメリカですが、オーストラリアと欧州連合、さらに日本の市場も期待しているとのことでした。 
 ボディのしっかりした赤ワインや甘口のシェリー、ポルト、日本酒との相性も良さそうですね。じっくり味わいながら、ゆっくりと秋の夜長を楽しんでいただきたいと思います。