今月のチーズのお話

2018 July

ウブリアーコ ディ ネロ ダヴォラ Ubriaco® di Nero d'Avola
ウブリアーコ ディ ネロ ダヴォラ Ubriaco® di Nero d'Avola

掲載日:2018/07/23

ウブリアーコ ディ ネロ ダヴォラ Ubriaco® di Nero d'Avola

ウブリアーコ ディ ネロ ダヴォラ Ubriaco® di Nero d'Avola 

世界でも知られるほどになった「酔っ払いチーズ」、カゼアリア社のラインアップは、地元のチーズを地元のワイン(ラボーゾ、プロセッコ、アマローネなど)に漬け込むスタイルが殆どですが、1999年に生まれたのが「ウブリアーコ・ディ・ネロ・ダヴォラ」です。
 世界でも知られるほどになった「酔っ払いチーズ」が生まれた背景には、厳然とした歴史が存在します。第一次世界大戦の混乱の中、イタリア軍の最前線はトレヴィーゾ県、ピアーヴェ川流域へと大きく後退、充分な食糧のない兵隊たちは農家に侵入し、盗みが横行するようになりました。そんな状況下、農民たちはぶどうの絞り汁を入れた樽や発酵したぶどうの搾りかすの中に熟成中のチーズを隠しておくことを思いついたといいます。チーズは思いがけず、フルーティでしっとりと若返ったのです。このチーズは地元の数少ない愛好家によって守られてきましたが、アントニオ・カルペネード氏のアイディアによって商品化が実現しました。その後、家族が一丸となりプロモーションを行うなどの努力が実を結び、世界へと進出していったのです。
 カゼアリア社のラインアップは、地元のチーズを地元のワイン(ラボーゾ、プロセッコ、アマローネなど)に漬け込むスタイルが殆どですが、そんな中で1999年に生まれたのが「ウブリアーコ・ディ・ネロ・ダヴォラ」です。シチリア産の胡椒がたっぷり入った羊乳製チーズ「ペコリーノ」を同郷のワイン、ネロ・ダヴォラに漬け込んで仕上げられています。塩分の高いものが多いシチリアのチーズの中から、あえて熟成の若い塩分が控えめなチーズが選ばれました。洗練されたアロマとプラムやスパイスの香りをもつ“ ネロ・ダヴォラ” に漬け込むことにより、しっかりと中までワインの香りを浸透させています。しっとり柔らかくなったペコリーノの生地に胡椒がアクセントとなる味わいはワイン好きにはたまらないはずです。好奇心と情熱の持ち主、アントニオ・カルペネード氏は地元のチーズのみならず、旅先で出会ったチーズをヒントにし常に新しい酔っ払いチーズづくりに挑戦してきました。奥様がカンパー
ニャ出身ということもあり、南イタリアには特別の思い入れをされているように感じます。2002年、シチリア、ラグーザで開催された「チーズアート」でウブリアーコを披露してくださったカルペネードご夫妻の姿が今でも懐かしく思い出されます。
 爽やかなワインに合わせ、胡椒が利いたウブリアーコ・ディ・ネロ・ダヴォラをお供にして、暑い夏を乗り切っていただきたいと思います。