今月のチーズのお話

2018 June

サブレ ド ウィッサン Sablé de Wissant
サブレ ド ウィッサン Sablé de Wissant

掲載日:2018/06/22

サブレ ド ウィッサン Sablé de Wissant

サブレ ド ウィッサン Sablé de Wissant 

パン粉をまとい、地元の白ビールで表皮を洗って熟成される「サブレ・ド・ウィッサン」。ふっくらとした外観からも美味しそうな香りが漂ってくるようです。
 パン粉をまとい、地元の白ビールで表皮を洗って熟成される「サブレ・ド・ウィッサン」。ふっくらとした外観からも美味しそうな香りが漂ってくるようです。ベルギー国境に近いノール・パ・ド・カレ圏(現オート・ド・フランス圏)のモダンな工房、“ ラ・フェルム・ド・ヴェール”で誕生したのが、このウォッシュチーズ。晴れたかと思うと小雨が降るような牧草がよく育つ気候はノルマンディーとよく似ていますが、それ故に却ってチーズを製造しようとは誰もが考えなかったといいます。
 フェルム・ド・ヴェールの創業者であるアントワーヌ・ベルナール氏は、1984年、18歳の若さで山羊70頭を飼いチーズ製造を開始しました。しかし4年間で限界を感じることとなり山羊をすべて売り、自転車でフランス各地を巡る旅に出かけます。旅の途中、農家や修道院でチーズ製造を学んだことが再び彼の情熱に火をつけました。こうして故郷に戻ったのち志も新たに1990年、チーズ製造を再開することになりました。そこで最初に製造した無殺菌乳の牛乳製チーズ「ヴュー・ブーローニュ」が、英国クランフィールド大学の研究室が実施した「世界一臭いチーズ」に選
ばれ爆発的なヒットを飛ばしたのです。1995年、弟のジョアキム氏が加わると更に勢いを増し、オリジナルチーズを次々と生み出すようになりました。従業員も着々と増え、2007年には新工場が完成しました。彼が開発したチーズは、ブーローニュ=シュール・メールにあるフランスでも屈指の有名なチーズショップ、「フィリップ・オリヴィエ」に並ぶこととなり、ますます脚光を浴びるようになっていきます。
 そんないくつもの魅力的なオリジナルチーズの中から選び、今回ご紹介するのが「サブレ・ド・ウィッサン」です。ウィッサンの白ビールで洗われる芳しいホップの香りと、パン粉がまぶされたもっちりとした生地を存分に楽しんでいただけることでしょう。白ビールとの相性はもちろんですが、アイリッシュウイスキーと合わせて召し上がっていただくのもおすすめです。