今月のチーズのお話

2018 May

フェタ(樽熟成) Barrel Aged Feta
フェタ(樽熟成) Barrel Aged Feta

掲載日:2018/05/24

フェタ(樽熟成) Barrel Aged Feta

フェタ(樽熟成) Barrel Aged Feta 

紀元前からチーズづくりが盛んなギリシャで、知名度・生産量ともにトップを譲らない「フェタ」。牛乳製の類似品もつくられるほどの人気ですが、フェルミエで扱うのは、酸味が優しく、生地もしっとりとした羊乳と山羊乳の混乳製。
 世界でもっとも古い歴史を持つ「フェタ」。ギリシャサラダには欠かせないチーズのため、各国で需要に応えてフェタの製造が盛んに行われてきました。しかし、1996年EUが統合されDOP制度が施行されると、フェタの産地を巡る論争が始まったのです。EUの仲間入りを果たしたギリシャは、冷蔵による輸送技術の進化に伴い、本物のフェタの輸出に力を入れるようになっていきました。ギリシャには青い海と島々のイメージがありますが、国土の80%が山地ですから人々の暮らしは自ずと酪農中心になっていったといえるでしょう。2002年10月、フェタはDOPを取得しましたが、ギリシャ以外の国での製造が完全に禁止されたのは、それから5年後の2007年10月のことでした。
 デンマークやフランス産のフェタしか知らなかった私に本場のフェタを教えてくださったのは、ギリシャ食材を輸入されているノスティミアのフラギス氏です。2006年春には現地を訪ね、チーズ製造の現場や羊飼いの暮らしに触れてまいりました。ギリシャ人にとってのフェタは、日本人の漬物と同様に昔から各家庭でつくられてきたものです。チーズづくりは羊の出産が始まる3月~ 7月初旬、約4ヶ月間に集中します。この時期にはフレッシュタイプが出回りますが、搾乳が終わる7月以降は、保存用としてたっぷり塩をまぶしたフェタがつくられるのです。フェタは塩辛く塩抜きしてから食べるもの、と言われたのはもう昔のこと。いまでは塩抜きしないのが常識になりました。200gの真空パックされたフェタは利便性がありますが、昔ながらの樽熟成のフェタは旨みがあり本物を求める方にはやはり人気です。
 今回ご紹介するキサス(KISSAS)社とは、3年前のトゥールで開催されたモンディアル会場で出会いました。1969 年創業の小さな工房は酪農が盛んなギリシャ、テッサリアの西部にあります。シーズンには近隣の農家から乳を集めてフェタを製造。樫の樽を使用し最低3ヶ月ゆっくりと熟成させるのが旨みの秘訣だそうです。今回お届けするのは昨年製造された1年物になります。エージングされたフェタを存分に味わっていただきたいと思います。