今月のチーズのお話

2018 February

トム ド ラカイユTome de Laqueuille
トム ド ラカイユTome de Laqueuille

掲載日:2018/02/22

トム ド ラカイユTome de Laqueuille

トム ド ラカイユTome de Laqueuille 

「ブルー・ドーヴェルニュ」「フルム・ダンベール」などの銘品ブルーチーズを数々生み出してきたラカイユ社の「トム・ド・ラカイユ」は、青カビの風味を持ちつつマイルドな味わいで、通の方から初心者の方まで幅広くお楽しみいただけます。
 2017年6月、フランス、トゥールで開催されたチーズの祭典「モンディアル・デュ・フロマージュ」のコンクールにて見事スーパーゴールドに輝いた「トム・ド・ラカイユ」。ひとつが約2kg。この土地の伝統的な「ブルー・ドーヴェルニュ」より背は少し低め、やや白っぽい外皮をもちます。むっちりとした生地に広がるブルーは控えめで洗練されたイメージがあります。「トム」とは丸いチーズを総称する呼び方で、サヴォワ、ピレネー、コルシカのチーズによくみられます。オーヴェルニュでは型に入れる前のカードをトムと言いますから、「トム・ド・ラカイユ」は時代に合わせて命名されたと推測できます。昨年のコンクールでスーパーゴールドを獲得したことを契機に人気は急上昇し、生産量もうなぎ登りです。人気の秘密は青かびの風味とマイルドな味わい、そして良心的な価格にもよるのでしょう。
 生産者は、オーヴェルニュ地方屈指の乳業会社「ラカイユ乳業」です。森と湖、どこまでも広がる牧草地。標高約1000メートルの大地に忽然とモダンな社屋は建っています。第二次世界大戦後の貧困から地域を立て直すため、ラカイユ市長が旗振り役となり1949年に設立。1971年には協同組合となって現在に至ります。農家からの絶大な信頼も得て、会社は大きく成長しましたが、原料乳へのこだわりが変わることはありません。フランスの平均に比べると農家の規模は極端に小さく、乳牛の飼育頭数は30~50頭。その中でも“ 山のミルク” と呼べるのは、標高1000メートル以上の山で春~秋に放牧され、冬は山の牧草を乾燥させたものをメインに与えられた牛の上質なミルクのみ(山岳法によって規定されています)。酪農家との強い絆や信頼関係があってこそ、良質の原料乳が生まれ、美味しいチーズが出来上がることを教えてくれているようです。
 ブルーチーズ好きな方は、少し物足りなさを感じるかもしれませんが、じんわりと広がる繊細な味わいを楽しんでいただけることと思います。もちろん、ブルーチーズ初心者の方にも自信をもっておすすめできる、優しく穏やかな味わいです。溶かすことによって、よりマイルドになりますので、どなたでも安心して召し上がっていただけるでしょう。