今月のチーズのお話

2017 December

グッチョ Guccio
グッチョ Guccio

掲載日:2017/12/21

グッチョ Guccio

グッチョ Guccio 

口当たりもなめらかな、優しいミルクの甘味が感じられる「グッチョ」。牛乳と羊乳それぞれのミルクの美味しさが、カスタードクリームのような組織を包みます。ムジェッロ渓谷の伝統のチーズを大切にしながら、新しいチーズづくりにも積極的に取り組むフォルテート社が開発した、小ぶりで食べやすい自慢の一品。
 ビロードのような美しい白かびに覆われた「グッチョ」。イル・フォルテート社創業者のひとり、ステファノ・サルティ氏の従弟にあたるサウロ・サルティ氏が生みの親になります。
 トスカーナ地方の伝統チーズといえば、「ペコリーノ・トスカーノ」に代表される硬質のチーズでしたが、1990年後半から、新しいチーズの開発が行われるようになりました。そんな中、サウロのアイディアによる羊乳製の白かびチーズ、「ブリナータ」が1998年3月に誕生します。ひとつが約1kg、側面が膨らんだ姿はまるでお供え餅のよう。むっちりと弾力のある生地が熟成にしたがい柔らかになる「ブリナータ」は、紹介と同時にフェルミエの人気のチー
ズになっていったのです。とはいえ、やはり1kgという重量は大きいもの。いくら大量にチーズを消費するイタリア人とはいえ一度では食べきれないために、小さなチーズをつくって欲しいというお客様からのリクエストが寄せられていました。その結果、2009年に「グッチョ」をリリースすることに。
 「ブリナータ」は羊乳100%で製造されますが、「グッチョ」は羊乳と牛乳が半分ずつの混乳製です。手頃な大きさはもちろん、牛乳の持つバターのような味わいと羊乳本来の甘みに上品さが加わり、あっという間にイル・フォルテート社の人気アイテムになりました。
 ところで、「グッチョ」の語源ですが、中世の労働階級の家族の末っ子をグッチョ、ウッチョ、ドゥッチョなど語尾にCCIO をつけて呼んでいたことから、「ブリナータ」の弟分という意味を込めて「グッチョ」と名付けたそうです。なんとも微笑ましい由来ですね。ステファノ氏は、イタリアの某高級ブランドの名前にも通じる親しみやすさも人気の理由だと、嬉しそうに話してくださいました。
 口当たりなめらかな、優しい味わいにはプロシュートやルーコラを合わせて。また、パンやリゾット、パスタなどのお料理との相性も抜群です。ミルクの上品な風味を大いに楽しんでいただけるでしょう。