今月のチーズのお話

2017 September

マロワル フェルミエ Maroilles Fermier
マロワル フェルミエ Maroilles Fermier

掲載日:2017/09/25

マロワル フェルミエ Maroilles Fermier

マロワル フェルミエ Maroilles Fermier 

2003年にチーズ製造に着手した新顔「フェルム・デ・バアルド」のマロワル。匂いが強めですが、無殺菌乳製の持つ深みある味わいとまろやかなコクがあります。地ビールと合わせてみると、より旨みを引き出すことができるでしょう。
 マロワルの故郷は、ベルギーと国境を接する小さな町、マロワル周辺のかつてティエラッシュと呼ばれた狭い地域です。農家づくりが盛んだったマロワルをはじめとするこの土地のチーズのほとんどは、20世紀後半からティエラッシュ社が販売を担ってきました。安定した品質、近代化を図りながらも伝統を重んじる姿勢など、全てにおいて信頼に足るビジネスパートナーであることは、今までも、そして今後も変わることはありません。
 しかしながら、私にはどうしても頭から離れなかったマロワルがありました。今年2月に訪問した農家「フェルム・デ・バアルド」のマロワルです。これを日本のチーズファンに届けたいという想いは旅行後もずっと変わることはなく、ここでようやく輸入の運びとなったのです。バアルド家がチーズ製造に着手したのは2003 年ですから、ど
ちらかといえば新顔といえるでしょう。良質の原料乳にこだわり、製造から熟成まで真摯に取り組むジュストさんご夫妻とスタッフたち。たゆまぬ努力が支持者を増やし、生産量を伸ばしていったことは、一度の訪問だけで容易に理解することができました。小さな工房には1200 リットル入りのステンレスのキューブがふたつのみ。カードの型詰めはバケツで行っています。使い込まれた型はプラスティックではなくアルミ製。かなりの重労働ですが、皆さんに喜んでいただくことが何よりの幸せだとおっしゃっていました。
 雨が多く牧草がよく育つ泥炭岩質の土地故にかつて熟成は地下で行われていましたが、2000 年のEU 基準で多くの自然カーヴは姿を消し、カーヴに住み着く赤い酵素も消滅。衛生的な熟成室になったことで、殺菌した乳に赤い酵素(フェルマン・ルージュ)を添加するようになります。しかし、本来のマロワルを知るファンの声に耳を傾け、工房新設と同時に地下カーヴを復活。丁寧に何度も洗うことで自然の赤い酵素が生まれてくるのです。マロワルは匂いが強めですが、無殺菌乳製の持つ深みある味わいとまろやかなコクがあります。地ビールと合わせてみると、より旨みを引き出すことができるでしょう。
 マロワルは大きさにより4 つのサイズがありますが、今回扱うのは一番大きい(本来の姿)720 グラムサイズのマロワルです。1/4 カットからの販売となります。