今月のチーズのお話

2017 August

ピッコラ ド ブルビ Pikorra de Brebis
ピッコラ ド ブルビ Pikorra de Brebis

掲載日:2017/08/24

ピッコラ ド ブルビ Pikorra de Brebis

ピッコラ ド ブルビ Pikorra de Brebis 

可愛らしい「ピッコラ・ド・ブルビ」は、1個80グラムの食べきりサイズ。小さいという意味の“ピッコラ”はイタリア語と誤解されそうですが、文字にKが入りますのでバスク語です。羊乳製らしい自然な甘みと旨味がじんわりとお口の中に広がります。
 ベレー帽の発祥地として知られるバスク地方。もともとピレネーの羊飼いたちが厳しい気候に耐えるために被っていた帽子が改良され一般に広がったと言われます。
 美しいバスク地方の草原の中に建つアグール社の創業は1981年。前年の1980年にオッソー・イラティがAOC(現AOP)を取得したことを契機に大きな企業へと成長していきました。成長のカギを握るのは二代目社長のペイヨ・エチュレクです。パリで開催されるサロン・デュ・フロマージュはもちろんのこと、各国の見本市会場では自らベレー帽を被って美声を披露しながら自社の商品とバスクをアピール。それは楽しそうにバスクを紹介してくれるものですから、ついついその魅力に惹き込まれてしまうというわけです。
 今まで幾度となくバスクを訪れてまいりましたが、バスクを発展させるための計画、そしてその計画を確実に実現させていることに敬意を払わずにいられません。大型チーズは無殺菌乳製が一般的ですが、オッソー・イラティは90%が殺菌乳製であり、わずか10%の農家製も年々減少しているのが現状なのです。イラティの森の羊飼いたちの生活を守り、無殺菌乳製の生産量を増やしたいと、2010年イラティの森に工場を建設。こうしてチーズ製造をすべて山の工房に任せることで、羊飼いたちは羊の世話に専念できるようになり、乳の輸送距離を短くすることも可能になりました。工場は森林のチップを利用してエネルギーをまかなうなど、伝統を守りながらエコロジーで持続性を考慮する試みも。オッソー・イラティが中心とはいえ、将来を見据えて、ソフトタイプの開発にも余念がありません。新しいチーズの製造を担当するのは若者たちです。
 そんな中からご紹介する可愛らしい「ピッコラ・ド・ブルビ」は、1個80グラムの食べきりサイズ。小さいという意味の“ピッコラ”はイタリア語と誤解されそうですが、文字にKが入りますのでバスク語です。羊乳製らしい自然な甘みと旨味がじんわりとお口の中に広がります。チェリージャムやハチミツを添えていただくのもオススメです。
ペイヨの挑戦は留まることなくまだまだ続くことでしょう。