今月のチーズのお話

2017 July

ブルー デュ ヴァル ダイヨン
ブルー デュ ヴァル ダイヨン

掲載日:2017/07/26

ブルー デュ ヴァル ダイヨン
Bleu du Val d'Aillons

ブルー デュ ヴァル ダイヨン Bleu du Val d'Aillons

0℃のセラーで5〜6週間熟成され、ブルーチーズ特有のピリっとした風味と、バターのように口中に溶ける味わいを持っています。サヴォワ地方のチーズ熟成に秀でた、名門「パカール社」の手によるワンランク上の熟成をお楽しみください。
 冬季オリンピック開催地、アルベールヴィルに近い小さな村、マニゴにある「パカール社」。サヴォワの名だたる伝統チーズを専門に熟成販売し、フランス中のチーズ専門店から絶大な信頼を得ています。
 創業者のジョゼフ・パカールはルブロッション農家に生まれ、トーヌ協同組合で熟成の仕事に18 年間携わり、1990年に独立。顧客の好みに合わせたルブロッションを熟成販売することで、ルブロッションといえば「パカール」と言われるまでになりました。ところがスキーリゾートであるマニゴは冬の観光客が多いため、ルブロッションとじゃがいものグラタン「タルティフレット」がすっかり有名になり、夏が旬のルブロッションの消費が大幅に冬の方が上回る結果になってしまったのです。大手スーパーではタルティフレット用のチーズが出回り、農家製ルブロッションを楽しむ人が減少するなかでパカール社は努力を重ねてきました。主要商品は今もルブロッションですが、父親の意志をしっかりと受け継ぎ家業を発展させてきた営業担当のジャン・フランソワと熟成を担当する弟のベルトランは伝統チーズだけでなく、小さな谷の名もないチーズや新開発のチーズを集めて熟成させ紹介することにも力を注いでいます。
 今回ご紹介する「ブルー・デュ・ヴァル・ダイヨン」もその中のひとつ。ボージュ国立公園にある標高1000mのフルティエール(酪農工場)で生まれました。20~50頭のタリーヌまたはアボンダンス牛を飼う農家5軒の乳を集めトム・デ・ボージュを製造する小規模のフルティエールです。年間80万リットルの乳を扱い365日休みのない工場で働くのは工場長を含め3~4人です。トム・デ・ボージュ、グリュイエール・ド・サヴォワの他にもアイテムを増やしたいと12年前にジャック・アヴヴォン(Jacques Anvevon)氏のアイディアで誕生したのがこのチーズ。生産地「アイヨン・ル・ジョーヌ(Aillonle Jeune)」がその名の由来です。パカール社では製造15日の若い状態で買い、カーヴで最低1ヶ月半熟成させています。山のチーズらしいむっちりとした生地にぴりっとしたブルーがアクセント。そのままでも美味しくいただけますが、ラクレットとして召し上がるのもおすすめ。ワインなら地元のルーセットが良く合うでしょう。