今月のチーズのお話

2017 March

エルヴィ Ervy
エルヴィ Ervy

掲載日:2017/03/27

エルヴィ Ervy

エルヴィ Ervy 

「ガエック・デ・トゥーレル(G.A.E.C des TOURELLES)」の新顔、エルヴィ。シャウルスと似て目が詰まった生地は芯があるように感じられますが、口に含むとふんわりと溶けていきます。濃厚なクリームと軽い酸味、後味にハシバミの香りも感じられる繊細な味わいは、シャンパーニュとの相性が抜群です。
 今月ご紹介するのは、シャウルスでおなじみ、「ガエック・デ・トゥーレル(G.A.E.C des TOURELLES)」の新顔、エルヴィです。
 フランスの南、シャロン・シュル・マルヌから中世の町並を残すトロワにかけては、フランスでも屈指の大農業地帯が広がる地域です。トロワから南に約30km下った町の名がつけられたシャウルス。そのチーズの農家製復活に貢献したのが、ガエック・デ・トゥーレルのリオネル・ドーヌ氏でした。当時のドーヌ家は乳の出荷で生計をたて、チーズはもっぱら自家用として製造していました。奥さまのマリーとお嬢さんペギーの協力も得て、1994年には搾乳小屋の隣にアトリエを建設、失敗を何度も繰り返しながら4年後にとうとう農家製シャウルスを完成させたのです。
 初めて訪ねたのは2002年2月のことでした。地平線が見えるほどに、芝生を敷き詰めたような牧草地が広がっています。大きな農場を持つドーヌ家の目印は、ふたつの塔(鳩小屋)です。150ヘクタールもある農場内の牛舎では、広くゆったりとしたオープンエアで100頭の牛たちが気持ちよさそうに過ごしています。牛たちの餌になるのは、すべて農場で刈り取られたもの。無殺菌乳製のシャウルスは豊かで安心できる濃厚な乳からつくられていました。軽い酸味の奥に感じられるクリームの香りやシャンピニオンの風味、あの時の感動が今でもよみがえります。
 あれから15年の月日が流れました。定番のシャウルスの他に、ひとまわり小さなブション・ダルマンスもフェルミエでは人気アイテムです。そして今回仲間入りしたのが、ひとつ400gあるエルヴィです。シャウルスと似て目が詰まった生地は芯があるように感じられますが、口に含むとふんわりと溶けていきます。濃厚なクリームと軽い酸味、後味にハシバミの香りも感じられる繊細な味わいは、シャンパーニュとの相性が抜群です。
 「エルヴィ」とは地名が由来になっています。その名称からは、ドーヌ家のオリジナルとして力を入れていきたいという意欲が伝わってくるようです。