今月のチーズのお話

2014 July

Roquefort CARLES/ロックフォール カルル
Roquefort CARLES/ロックフォール カルル

掲載日:2014/07/01

Roquefort CARLES/ロックフォール カルル

ロックフォールの起源は2000年以上も昔、ローマ時代まで遡ると言われます。しかし歴史で初めて語られているのは14世紀初期のことです。当時のフランス国王シャルル6世がロックフォール村一帯を「作物に恵まれない土地」として保護し、ここの住人に対して独占的な製造と熟成権を与え、洞窟をチーズの熟成場所として指定したというのがその記録です。この特権はシャルル7世、フランソワ1世、アンリ2世、ルイ13世、ルイ14世と歴代の王により保証され続けてきました。
自然にできた石灰岩の洞窟の中には“フルリーヌ”と呼ばれる湿った風が通り抜けるのが特徴です。フルリーヌは天然の換気口によって調節され、洞窟内を通年一定の湿度と温度(7〜8℃)に保つ役目を果たしています。そのような自然のカーヴのなかで、チーズはゆっくりと熟成していくのです。樫の木の棚に並べられ、フルリーヌに包まれながら約3ヶ月を経る頃には個性的な香りと味わいができあがります。こう考えると、ここをチーズの熟成場所として指定した国王あってのロックフォールといえなくもないですね。
ロックフォールの生産者は現在では7社。最大手のソシエテ社が全生産量の60%、オキシタンが20%。家族経営のカルル社はわずか1%のシェアしかありません。昔ながらの手作業を守り続けるカルル家の姿勢と、そこから生まれる味には熱烈なファンが多く、フェルミエでも長きにわたるおつきあいが続いています。メートル・フロマジェのデルフィーヌは三代目。自慢の新しいアトリエは2011年12月に完成しました。モダンに改装されたアトリエですが、攪拌、パンから採取した青かび振り、塩付けにいたるまでのすべての工程を手作業で行っているのです。
アトリエの稼働は羊乳の時期に合わせて12月中旬から6月末まで。熟成は長ければ良いというわけではなく、美味しさのピークは6〜8ヶ月といわれています。そして、その後はいつでもおいしく食べられるように0℃で保存されます。秋から冬であれば、ゆっくりと熟成させたものが人気ですが、夏のロックフォールは若いものがおすすめだそうです。ライ麦パンにぬっていただくのが伝統的な食べ方とされていますが、バニラアイスクリームとの相性も抜群なのでぜひお試しいただきたいと思います。甘口のワインやドライフルーツ、ハチミツなど、甘みを加えることで、美味しさはより一層広がります。また、ロックフォールと無塩バター、そこに少量のソーテルヌを加えて練りカナッペにするのもおすすめです。歴代の王様に愛され続けた滑らかなブルーチーズ、大いに楽しんでみてはいかがでしょう?