今月のチーズのお話

2012 January

JERVAULX BLUE/ジャーヴォー ブルー
JERVAULX BLUE/ジャーヴォー ブルー

掲載日:2012/01/31

JERVAULX BLUE/ジャーヴォー ブルー

 イングランド北部ヨークシャー州の北西部に広がるヨークシャー・デイルズに修道院が建てられたのは1150年頃と推定されます。シトー派の修道士たちが羊を飼いながらチーズを製造していました。16世紀にヘンリー8世によって破壊された修道院から逃れた修道士たちから農民へと、チーズの製造が伝えられたといわれます。当時のチーズは羊乳製のブルーだったとされていますが、16世紀以降は牛乳製のブルーチーズに、そして産業革命の後1897年にチーズ工場が建設され、工場製チーズが誕生するころには、ブルーがはいらない「ウェンズリーデイル」が一般的になっていきました。

 農民の協力で少しずつ大きくなった工場は次第に経営困難に陥り、1992年には59人の従業員を残して倒産。しかし、熱い想いを持つ従業員たちによって、わずか6ケ月後に新しい会社「ウェンズリー・クリームリー」として再スタートします。その年のクリスマス直前に「リアル・ヨークシャー・ウェンズリーデイル」が大ヒットしたのです。

 この「ジャーヴォ―・ブルー」は、かつて製造していた「ブルー・ウェンズリーデイル」の製法を見直し、石灰岩質の牧場に放牧された品質の良い乳だけを集め、機械化することなく、ひとつずつ丁寧に職人たちが自信を持って製造しています。伝統的にクロスを巻いて熟成するなど、細部にこだわって完成させたものです。

 現在、ウェンズリー・クリームリーは50軒の牛乳生産農家を支え、200人の従業員が働き、営業活動も盛んに行っています。ヨークシャー・デイルズ国立公園の中心にある本社は多くの人が訪れるテーマパークのようです。ウェンズリーデイル・クレームリーは新しい商品の開発にも力を入れ、最近ではジンジャーやクランベリー入りのデザートのようなチーズもたくさん生みだしています。

 イングランドで最大の面積を持つヨークシャー州は岩手県とほぼ同じ面積があり、薔薇戦争のヨーク家にちなんで白い薔薇を州の徽章としています。近頃人気のあるヨークシャー・テリアという犬種だけではなく、こんなおいしいチーズがあるチーズづくりの盛んな土地であることも、ぜひ忘れないでいただきたいと思います。 

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